
出す。もっと小規模な例にはこのことがはっきりとは見出せない。例えば博多は古い町から通りを抜けて来るだけで新しいウォーターフロントに着くことができる。あるいは福岡の場合も、新しい町並みや住宅街を横切るだけで新設のドームやホテル、桟橋、海岸に到着する。
よって提案は、大規模な事業および開発を補足する小規模な事業および開発が新たなウォーターフロントを都市構造に組み入れるための有効手段となるだろうということである。
4b都市構造への統合
2番目の提案はウォーターフロント開発と周辺都市との統合に関するものである。ここトロントでは我々は多大な努力を払ってウォーターフロント地域とその分水界を結合あるいはむしろ再結合させ、ウォーターフロントのある分水界よりも内陸側で生活し、働き、遊ぶ人たちにも、この地域で楽しい時を過ごしてもらい、関心を持ってもらえるように努力しているところである。
我々はこれを「グリーン・インフラストラクチャ」という考えの下に推進している。これはオープンスペースと、渓谷、峡谷や分水界の上流の細流の沿った自生地を再結合すことであり、あるいは、ウォーターフロントに到る道に沿って並木か植物を植える(そしてウォーターフロント・トレイルに接続させる)ことであり、あるいはまた、広い並木のある歩道や安全な横断歩道を設けるなど、歩行の必要性、利便性、快適性に大きな優先順位を置くことである。
日本の計画立案者や設計者も同様に考えているという証拠がある。北九州市の「私の町、私の川、紫川」プロジェクトがよい例で、十カ所の橋で小倉城と川をつなぎ、町を海と結びつけようとするものである。東京の志村川沿いの歩道沿いにずっとみられる植え込みもこの主旨を表したものであり、ここを訪れると他の町についても心に描くことができる。では例えば福岡では、大堀公園のその素晴らしい花園をどうやって福岡ウォーターフロントにリンクすることができるだろうか?その公園からは遠くにタワーが見えるが、そこにはどうやって行けばいいのだろう?
4c護岸の自然化
第3の提案は土地埋立プロジェクトの物理的な形状に関するものである。護岸形状と直線指向には、明らかにやむを得ない技術上、輸送上、経済上の理由がある。しかしもし埋立地を、日本の自然海岸のようになだらかに設計することができるなら、グリーンスペースや海岸地域をソフトエッジ化できる。そうすれば機能や施設の損失をなんら伴わずに外観は変化に富みアピール度は増すであろう。東京の葛西ウォーターフロントパークはおそ
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